文、写真:河上 竜平
昨年11月、エマは海外テレビ局での撮影とウィングラムカップ2023バーチカルシリーズ以下、ウィングラムカップ)※11戦目をこなした。そして今年に入り、1月にウィングラムカップ2戦目に参戦、2月はイタリアでのギネス世界記録チャレンジと関東でのテレビ撮影、さらに3月に東京でのモデル撮影と神戸での撮影と多くの貴重な経験をさせてもらっている。
ありがたいことに、最近もいろいろな企画の話をいただく。ときにエマも打ち合わせに参加しながら、ひとつひとつのできごとに全力を尽くす日々だ。エマは現在9歳。幼くして大人とやりとりしながら社会勉強をさせてもらい、たくさんの人たちに支えられていることを実感している。
もちろんスケートボードも欠かさない。今年9月にローマで開催されるワールドスケートゲームズ※2に出場できるかどうか、発表はまだない。だからコンテストに向けたルーティンの練習ではなく、新しいトリックに取り組んだり、基本的なトリックやコンビネーションなどスキルを底上げするための練習をしている。
ここ最近よく話すことがある。それは、慣れたトリックやコンビネーションでミスが続いたり、ほかのパークで滑るときや使用する道具が変わるなど状況の変化によってうまくいかないときにどう対処するかについてだ。エマはそうした状況になると、たいていイライラする。そのイライラが集中を妨げ、冷静さを欠き、さらにメイクが遠ざかるという悪循環に陥ることもある。
だがうまくいかないときこそ、重大な局面でのピンチための練習になる。落ち着いて、あきらめることなく原因と攻略法を考える。苦しいだろうが、これも訓練。そうした取り組みを積み重ねれば、強く上手なスケーターになれると説明している。(余談だが、イライラしたときは両耳をつまんで「ウーサー」と言うと落ち着くと伝えている。これは映画『バッドボーイ2バッド』から学んだ)
スケートボードの上達には反復練習が基本だが、メンタルの強化も重要だ。とはいえ、感情を抑え込んで機械的になる必要はない。感情的になるからこそ、スケートボードの楽しさや喜びを得られるのだと思う。
※1 JFS(日本スケートボーディング連盟)が主催するコンテストツアー。全3戦のうち2戦の合計得点の上位者が後述するワールドスケートゲームズに出場できる
※2 ワールドスケート国際連盟によって行われている、あらゆるローラースポーツ分野を含んだ国際的なマルチスポーツイベント。隔年で開催される。2024年は9月にイタリア・ローマで開催される。
体が大きくなるとともに、エアーの高さが少しずつ上がってきたエマ。取り組むトリックの難易度もどんどん上がってきている。そのため、最近はメンタルの部分についても話をするようになった
弟のヒイロも成長中。とくに教えているわけではないが、自然とスケートボードのスキルが上がっている
エマは4月から小学校4年生。この1年もどんな成長をみせてくれるのか楽しみだ
POSTED : 2024-04-05