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第36回新春波乗り大会

文、写真:原田 正規

 

先日、長男カイマナの大会があり、湘南・鵠沼へ2日間行ってきた。

 

鵠沼はとにかく波がいつも小さくて大人のショートボーダーには不向きなポイントだが、子どもにとっては大人の膝~腰サイズの波でも胸くらいの波になるので十分サーフィンできる。

 

試合当日、波のサイズはやはり膝~腰。子どもサイズなら胸~肩といった感じだろう。今回そんな鵠沼の波を想定し、小波対策のためにEPS※1のサーフボードを用意した。

 

試合が始まり、PU※2のサーフボードに乗るほかの選手が手こずっているなか、カイマナはEPS素材の軽いボードでいきなり7ポイントのハイスコアを叩き出し絶好調ぶりをアピール。トータルスコアも12ポイント以上出して1位通過。ほかのヒートを見てもカイマナのスコアはダントツだった。ラウンド2もぶっちぎり1位通過で、EPSの板が小波にマッチしている。今回はファイナルまで行けそうだなとわたしは思った。

 

しかし、試練は準決勝となるラウンド3でやってきた。ヒート前半も好調で6ポイントを出し、バックスコアが1.15ポイントという状況だった。今回の大会ではヒート時間の12分中、最大8本の波に乗ることができて、そのうち2本のベストライディングを採点するルールになっている。このヒートに勝ち上がるのは4人中上位2人。

 

カイマナはバックスコアが1.15ポイントと低かったので、2位になるために2.15ポイントが必要だった。残り時間5分。タイミングよくプライオリティ※3を持っていたので、このシチュエーションであれば、いい波を待って軽くワンアクション入ればかんたんに2.5ポイント以上出る感じだったが、あせったカイマナは波を待たずに手前に来た波でワンアクション入れようと力んでしまい、まさかのワイプアウト。このライディングについた点数が1.60ポイント。必要な2.15ポイントを出すことができず、そのあと波は来ないままヒートが終了してしまった。

 

予選のラウンドではまだレベルの差もあるのでなんなく勝ち上がれるが、やはり準決勝あたりから選手のレベルが上がり、試合のかけ引きをしなければ決勝へ進むことはむずかしい。

 

今回カイマナは試合のかけ引きの重要性を実感しただろう。わたしもくやしい気持ちをグッとこらえて、ヒートを終えたカイマナにプライオリティの使い方を説明した。泣きながらくやしがっているカイマナをヒートを終えた仲間達が囲んで「またがんばろう」と言って握手する姿を見て、小学生とはいえ、この子たちは本気で戦ってるなとわたしは感じた。

 

 

※1 サーフボードの素材となるポリスチレンの発砲フォーム。後述のPUとくらべて、軽量で強度があるサーフボードになる。乗り心地は固め。浮力感が大きいため、小さな波と相性がいい。
※2 サーフボードの素材となるポリウレタンの発砲フォーム。サーフボードに使われてきた歴史が長く、波にフィットするいい具合のしなりがサーファーたちに愛されつづけている。
※3 ヒート中、それぞれの選手に順番に与えられる優先権。ヒート開始直後のプライオリティ(優先権)が誰にもない状態で、最初に波に乗ったサーファーからプライオリティの順位がいちばん低くなる。その後、次のサーファーが乗るとプライオリティの順位が繰り上がっていく。

来週には四国で行われるジュニアオープンがひかえている。カイマナは「楽しみだ」と言っている。それを聞いて、もう気持ちは切り変えていると思った

POSTED : 2024-04-11