文、写真:原田 正規
4月21日に愛知県でNSA※1認定AAランク※2のコンテスト豊橋市長杯が開催された。長男カイマナもこのコンテストにエントリー。先日の四国で開催されたジュニアオープンでは準々決勝で敗退して悔し涙を流したものの、その旅でのフリーサーフィンで日本有数のリバーマウスを経験したカイマナは、モチベーション的には申し分ない状態で豊橋市長杯に挑んだ。
コンテスト当日の波は腰~腹サイズ。スモールコンディションのなかでコンテストは行われることに。カイマナはさっそくEPS※3素材のボードを手に取り、ヒート前から練習に励む。
動画を見ると、波とボードがマッチしていて、スモールコンディションのコンテスト会場でカイマナのサーフィンはひときわ冴えていた。
わたしはこのコンテストに行けなかったが、ここ豊橋エリアのローカルプロサーファー、岩瀬 裕哉がコーチングを買って出てくれた。裕哉は単身で千葉に移り住み、昨年プロデビューしたばかりのルーキー。わたしが住む東浪見エリアにアパートを借りていて、日ごろからカイマナの面倒みてくれているナイスガイ。そうした関係性がよかったのか、カイマナは順調にラウンド1~3を勝ち上がり、ファイナルまでのヒートすべてを1位通過でラウンドアップした。
ファイナルは波数が少ないコンディションだったが、ここでもカイマナは2本目で4.75ポイントを出し、4本目には5.25ポイントを出してトータルスコア10ポイントでヒートをリード。2位の選手が1位になるために必要なポイントが5.7と、このコンディションであればビッグエアーを1発決めるか、セットの波をつかんで2~3発のターンを決めなければ逆転は不可能な状況だった。
そして、状況は変わらずタイムアップ。カイマナが今年初優勝を果たした瞬間だった。わたしはスマートフォンでライブスコアを見ながら今までのカイマナを思い起こし、本当によくやったと実感した。
時代とともに若年化してきた今のNSAは、キッズ、ボーイズ、ジュニアと、子どもたちすべてのクラスレベルが高い。わたしの時代は、ボーイズクラスでうまい選手が数人いるくらいで、それ以外はみんな同じくらいの低いレベルだった。今ではボーイズの下、キッズクラスでもレベル高い選手が多く、各地方にうまい子が数人いる。まさに次世代のサーファーが育っている感じだ。
それだけに、NSAの公認大会で優勝することはむずしくなっている。優勝を目指すならば、まず日々練習できる環境に身を置き、たくさんのコンテストに出て場数を踏んで、経験を積む必要がある。将来世界のリーグで戦うためには、今のNSAレベルは絶対的に必要だ。また今はNSA認定のコンテスト8戦中ランキング上位6位までがオリンピック強化選手になれることなども含め、サーフィンがよりスポーツとして確立してきている。
カイマナは現在、この優勝によりランキングを6位まで上げた。
わたしが出場していた当時はアマチュアの大会にランキング制などなく、NSA公認のコンテストも数が限られていた。ローカルコンテストがNSAと提携し、地方で多く開催されることでコンテストのクオリティが上がっている。サーフィンがオリンピック種目になったことで、アマチュアコンテストが多く開催されだしたのだ。ランクづけすることも、すべては世界を目指す準備なのだろう。このような今の現実を考えると、これからの日本のサーフィンが楽しみでしかたがない。
※1 日本のアマチュアサーフィン最大の組織である日本サーフィン連盟の略称。
※2 NSA公認大会はAAAランク、AAランク、Aランクとグレードが分かれていて、付与されるポイントがそれぞれ異なる。2024年度ランキングカウントの対象試合数は8試合。獲得した合計ポイントによって日本の年間ランキングが決まる。
※3 サーフボードの素材となるポリスチレンの発砲フォーム。軽量で強度があるサーフボードになる。乗り心地は固め。浮力感が大きいため、小さな波と相性がいい。
左から東浪見小学校の同級生のカイル、今大会のカイマナのコーチを務めてくれた岩瀬 裕哉、カイマナ。全国をまわるサーフィンのコンテストは、仲間と一緒だと楽しさが増す
POSTED : 2024-04-30