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秩父スケートパークに前乗り

文、写真:河上 竜平

 

1月27日に開催されるウィングラムカップ※1第3戦に向けて、秩父スケートパークに練習に来ている。

 

第1戦はホームであるジースケートパークで開催された。エマは最年少ながら大健闘。みごとに優勝した。何より、目的としていたトリックをメイクできてよかった。第2戦は年末でいそがしいこともあり出場を断念。最終戦の第3戦に賭けることに。ふだん滑っているジースケートパークのバートとは違うので、前乗りして調整を重ねている。出場するスケーターはみんな同じように前乗り。遠くに住む友だちとひさしぶりに会う機械でもあるため和気あいあいとした雰囲気もあるが、各々練習に励んでいてコンテストに向けた熱気を感じる。

 

今回の試合、エマの目的はふたつある。ひとつ目はルーティンのメイク。バックサイド900(以下、900)※2を入れたランを成功させることだ。秩父スケートパークの滑走面はジースケートパークよりグリップしやすく、スピードが出にくい。そして、アールの部分の角度が急なので、着地がしづらい。つまり、ランの途中で900から次のトリックまでメイクするには完璧な着地が求められる。そのため、とてもむずかしいうえに危険度が高い。

 

トリック単体でも現在900をメイクできるスケーターは稀。ランの途中に900を入れるスケーターは、世界中を見渡してもギー・クーリーしかいない。ホームパーク以外で900をさせるか躊躇したが、エマもランで成功させたいと意気込んでいたので組み込むことにした。

 

そしてふたつ目の目的は、ベストトリックでアーリー※3900を成功させること。これはエマがとてもこだわっているトリックだ。Xゲームズ※4などの世界大会でもバーチカルでメイクしたスケーターはいまだかつていない。エマは「コンテストで成功させれば世界初だ」と意気込んでいる。何度か成功させたことはあるが、メイク率はまだまだ低い。アーリー900をコンテストで成功させるのは至難の業。それでもチャレンジするという。コンテストまでの練習時間も残りわずか。怪我なく悔いなく、がんばってもらいたい。

 

 

※1 日本スケートボーディング連盟(JSF)主催のツアー戦。全3戦のうち点数の高い2戦の合計点の上位者が、ワールドスケート国際連盟が開催するワールドスケートゲームズに出場できる。
※2 空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させるトリック。
※3 背中側に向かって滑り、空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させながら、デッキのつま先側を後ろの手でつかむトリック。通常のバックサイド900と反対方向に飛び出し、着地位置も反対になることから難易度が高くなる。
※4 さまざまなエクストリームスポーツを集めて夏と冬の年2回開催される世界最大級の競技大会。

友だちのお父さんが手羽先をみんなに振る舞ってくれた。大会はふだん会えない友だちとの交流の場でもある。スケートボードをしていると、こうして日本中、世界中に友だちの輪が広がっていく

POSTED : 2024-01-26