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新年の抱負

文、写真:河上 竜平

 

2023年もスケートボード尽くしの一年だった。エマの感想はこうだ。

 

「初めてコンテストで優勝できたこともうれしかったけど、900※1を立ち着地できたのがいちばんうれしかった」

 

たしかに、無謀とも思える900の立ち着地を目標にやってきた。恐怖と戦いながら、一昨年から繰り返し練習しつづけた。そんな努力の甲斐あって成功。そして、今ではルーティンにも組み込めるようになった。インスタグラムでも国内外から高い評価を受け、コンテストにおいても「優勝」という結果につなげられた。

 

今年はどんな一年にしたいかを聞くと「もっといろんな技をやりたいし、エアーも上げたいし、コンテストで勝ちたいし、Xゲームズに出たい」とのこと。

 

ざっくりとした目標のなかにXゲームズ※2というとてつもない目標を入れてくるあたりがまだ子どもだと思う。でも、野望とも言える大きな目標を持つことはとても大切だ。その意志を尊重したいし、全力で応援したい。野望の実現に向けてどんな練習をするのか、どんなトリックをしたいのかを掘り下げて聞くと、これからチャレンジしたいトリックのことや、ルーティンについていろいろと話していた。とくにがんばりたいのは、ロデオ540※3だという。

 

「ロデオをもっとうまくなりたいし、もっと種類を増やしたい。あんまりやる人いないし、むずかしいし危ないからみんなやってへんやろ。ショーン・ホワイトもやってたトリックだからヤバいやろ」

 

バックサイド540※4と異なり、ロデオ540はフロントサイド側(進行方向に対して背中側)にまわすのだか、フロントサイド540※5とも回転軸が異なるため習得がとてもむずかしい。着地の際には、進行方向がほとんど見えない。そして何より、コーピング※6と顔との距離が近くて危険。エマはバックサイド540もロデオ540もできるが、ロデオのほうが圧倒的にむずかしいと話す。

 

コンテストにおいては、トリック単体で比較したときにどちらの点数が高いかはわからない。ただ国内では、バックサイド540はできても、ロデオ540ができる人はほとんどいない。難易度の高いステイルフィッシュグラブ※7のロデオ540をメイクしているはエマだけだ。

 

「ロデオのほうがヤバい」

 

エマにとって、それだけでチャレンジする理由としては十分だ。9歳なりに、スケーターとしてオリジナリティを追求したいという姿勢が感じられる。難易度、危険度ともに高いトリックではあるが、このロデオ540を進化させるべく、エマは今年もスケートボードをがんばる。

 

 

※1 空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させるトリック。
※2 さまざまなエクストリームスポーツを集めて夏と冬の年2回開催される世界最大級の競技大会。
※3 空中で体とボードを一緒に背中側へ1回転半させるトリック。回転の回数や向きは後出のフロントサイド540と同じだが、フロントサイド540は体とボードをプロペラのようにまわすのに対して、ロデオ540は野球のバッティングのように体を中心にボードを振りまわすため、より難易度が高い。
※4 空中で体とボードを一緒にお腹側へ1回転半させるトリック。
※5 空中で体とボードを一緒に背中側へ1回転半させるトリック。
※6 バーチカルの両端に設置されている鉄パイプ。
※7 デッキのかかと側をテール側の手でつかむトリック。

 

2024年、エマはジースケートパークのチームライダーになった。ホームパークの看板を背負って、さらに気合が入っている

エマとヒイロの希望で新年早々ボーリングに行った。スケートボードに乗らないときは、小学3年生のただの無邪気な子どもだ

POSTED : 2024-01-05