文:原田 正規
写真:飯田 健二
JPSAシニアツアーの最終戦が行われたお倉ヶ浜には10代のころからよく通っていた。ローカルの方たちとも親しくさせてもらっている、わたしの好きなサーフポイントだ。体の調子も上げてきていたし、ニューボードを手にして楽しみにしていた試合だった。
しかし、現地に到着すると波は膝~腰サイズというサーフィンができるギリギリのコンディションだった。わたしが持ち込んだニューボードは、その波にマッチするとは言いがたいEPS素材の薄めのショートボード。正直なところ、この時点でモチベーションは下がった。でも昔と変わらないお倉ヶ浜のロケーションに加え、同行したメンバーがいたことで気分を落とすことなく試合前の練習ができた。
ヒートの相手は、3回のJPSAショートボードツアーのグランドチャンピオンを獲得している河野 正和選手、同じく3回のショートボードツアーグランドチャピオンとシニアツアー初年度のグランドチャンピオンに輝いた浦山 哲也選手、そして2023年のシニアツアー初戦で優勝した遠田真央選手と誰が勝ってもおかしくない強豪ぞろい。わたしは、ヒート前半で浦山選手にインターフェアをしてしまい、後半には河野選手が乗ろうとした波にパドリングをしてさらにインターフェアの判定を受ける。そうしてダブルインターフェアという、36年のサーフィン人生において初めての衝撃な結果となってしまった。
この試合内容には、いろんな意味で時代が変わったと痛感した。インターフェアに対するジャッジの姿勢は以前より厳しい。優先権のルールも違う。そして、昔のわたしならば、これほど小さな波で真剣にヒートをこなすことはなかった。だが今はそうではない。
今回の敗因は、試合数が少ないシニアツアーではなんとしてでも勝ちたい思いからか、小さい波で力んでしまったこと。もうひとつは小波用のサーフボードを準備する期間が間に合わなかったことだと理解できた。
その日の夜、ひとりで宿泊施設で休んでいたら、お倉ヶ浜でディアサーフを経営しているローカルサーファーの海埜 士さんと千葉のローカルレジェンドの福地 孝之さんが迎えにきて「飲みに行くぞ」と日向の街中へ繰り出すことに。そこで説教が始まった。わたしは何も抵抗できず、苦手なカラオケを歌い、おおいに飲み、何軒もはしご。後半は何の話ししたかもわからない。そんな状態で深夜に宿に戻った。
わたしは二日酔いも覚めないまま、早朝からシニアツアーの続きを観にいった。波は前日より多少あったものの、けっきょくは終始スモールコンディション。こうしてJPSAシニアツアー最終戦は終了した。
今回、JPSA運営の方々と試合中、試合後も話しができた。今年一年みんなが期待するコンディションで試合が行われなかったこと、今後変わっていくシステムのことなどについて意見交換。これから始まる新たなツアーについての前向きな話しを聞けて、わたしも同じ気持ちになれてとてもよかった。
来年のスケジュールはまだ決まっていない。わたしにもっとも必要なのは、サーフィンの実力で勝負できる波。そんなコンディションでの試合開催を願っている。
POSTED : 2023-11-20