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ホームパークでの大会に向けて

文、写真:河上 竜平

 

11月25日にJSF※1主催のバーチカルのコンテスト、ウィングラムカップがジースケートパークで開催されることになった。エマがスケートボードを始めてすぐコロナ禍になり、全国でいろいろなコンテストが中止。ジースケートパークで開催されていたバーチカルのコンテストもなくなっていた。海外でのバーチカルのコンテストは行われていたが、かんたんに行けるものでもない。エマはそんな状況下でスケートボードを始め、いつコンテストがあるかもわからないバーチカルの練習をひたすらしていたのだ。

 

そのためエマは「コンテストに出たい」「勝ちたい」という気持ちより、トリックを習得していく志向が強かった。だがわたしとしては、「いつかジースケートパークでバーチカルのコンテストに出てほしい」と思っていた。だから今回の開催はとてもうれしい。エマも「みんなに見せたいトリックがある」とやる気満々だ。でもそれ以上に、コンテスト開催が近づくにつれてジースケートパークにやってきては練習する全国のスケーターたちと一緒にセッションできることを楽しみにしている。遠くから来る彼らと一緒にバーチカルを滑る機会が少ないので、とてもいい刺激になるだろう。はたして自分がどれくらい滑れるのか。年上の上手なスケーターたちとセッションすることで客観的に自分のスキルを認識するのにもとてもいい機会だ。

 

今回のコンテストはエキスパート、オープン、オーバー35(35歳以上)と3つのカテゴリーに分かれている。エマはエキスパートクラスに出場する。もしかしたら最年少エントリーになるかもしれない。不利な条件だが、エマにはチャレンジしてほしい。コンテストといえど、最終的には自分との戦いだ。確実な滑りより、攻めの滑りを。むずかしいルーティンをメイクするには、今の自分のレベルより少し高い水準で練習する必要がある。その練習方法を重ねれば、エマにとってきっといい効果が現れる。

 

今現在、コンテストでのルーティンに900※2、フリップボディーバリアル540※3、フェイキー720※4、アーリー540インディーグラブ※5を入れた構成を考えている。どれもエマにとってとてもむずかしいトリックだ。これらのトリックは、エマが尊敬するギー・クーリーがXゲームズ※6などのルーティンによく取り入れているものばかり。つまりギー・クーリーへのオマージュであり、大きなチャレンジだ。コンテストまで1か月を切っている。それまでにどれくらい成長できるのだろうか。楽しみでしかたがない。

 

 

※1 日本スケートボーディング連盟の略称。
※2 空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させるトリック。
※3 空中でボードを縦に1回転、お腹側へ1回転させながら、体を1回転半させるトリック。
※4 通常と逆のスタンスで滑り、空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させるトリック。
※5 背中側に向かって滑り、空中で体とボードを一緒にお腹側へ1回転半させながら、デッキのつま先側を後ろの手でつかむトリック。通常のバックサイド540と反対方向に飛び出し、着地位置も反対になることから難易度が高くなる。
※6 さまざまなエクストリームスポーツを集めて夏と冬の年2回開催される世界最大級の競技大会。

900の完成度が高くなってきたエマ。光栄なことに、エマが900をメイクした動画がトニー・ホークやXゲームズに最近シェアされた

POSTED : 2023-11-10