文:原田 正規
サーフィンのおもしろさは、ただ波に乗る行為だけではない。多種多様なサーフボードのなかから自分好みのものを見つけて、サーフィンの楽しみ方を選べる点も大きな魅力だ。
たとえばサーフィン競技においていちばん人気があるハイパフォーマンスショートボード(以下、ショートボード)は、現代のサーフィンの中枢部にあたる。波を切り裂くようなターンや空中に飛び出すエアリアルなど過激なアクションが持ち味で、オリンピックの競技で使用されているのもこのカテゴリーのサーフボードだ。
ロングボードでは、ボードの上を前後に歩くウォーキングや先端に立つノーズライドを繰り出しながら、波の上で優雅にダンスするようなライディングをする。同じサーフィンでもまったく異なる乗り方になるのがおもしろい。
最近では、ショートボードとロングボードの中間の乗り味を持つミッドレングスの人気が急上昇中だ。ミッドレングスは、ロングボードからショートボードになっていく過渡期、おもに1970年代に生まれたデザインをモダンにしたカテゴリー。サーフカルチャーの歴史が深いカリフォルニアがシーンの中心であることから、スポーツというよりは、音楽やアートと密接につながっていることも魅力のひとつである。
わたしが目指したいカテゴリーは、ショートボードよりのミッドレングス。クラシックロングボードのようにヘビーオンスのガラスクロスにカラーレジンでラミネートされているミッドレングスでサーフィンする姿はとても格好いいと思う。でもわたしの理想は、エアブラシでカラーリングし、ショートボードに使用する4オンスのガラスクロスに6オンスのデッキパッチを入れた、強度と軽さを両立したスポーティーなミッドレングスだ。現在わたしがフォーカスしていることはショートボードのコンテスト、そしてサーフレッスンだ。けれども今の展開が落ちついてきたら、このカテゴリーを追求していきたいと明確にイメージしている。
初めからショートボードに乗ることはむずかしい。機能性をとことん高めるために、安定性が犠牲になっているからだ。もしもこれからサーフィンを始めるのであれば、遊び心満載で比較的あつかいやすいミッドレングスや小さな波でもゆっくりと長く乗れるロングボードという選択がいいと思う。さらに言えば、まずはやわらかくて安全性が高いソフトボードをおすすめしたい
写真:熊野 淳司
POSTED : 2023-09-22