文:河上 竜平
9月9日と10日の2日間、大阪市泉大津で夏のパンクロックフェス、ハジケテマザレ・フェスティバル2023※1が開催。エマはチームグッドスケートの一員として、昨年に続いてショーに参加した。スケートボードの大会よりも断然多い観客が見守るなか、インラインスケート界の絶対王者である安床 武士率いるチームグッドスケートとしてショーを行うので緊張する。しかしエマは、有名なバンドのライブパフォーマンスを見ながら滑ることができる貴重なこのイベントをとても楽しみにしていた。
当日は午前8時に現地に集合。まだ観客が入っていないなか、ショーの練習を開始した。エマがいつも滑っているバーチカルランプは13フィート(約4メートル)だが、ショーで使用するバーチカルランプは10フィート(約3メートル)で幅も半分くらい。昨年も同じランプを滑ったものの、慣らしが必要だ。ショーではソロを2本、インラインスケートのハルヒくんとふたり同時に滑るコンビネーションを1本滑る。
何本か軽くアップをしてから、ショーで行う予定のバックサイド540※2とフリップインディ※3をやってみた。得意なトリックなのですぐにメイクできた。去年のエマは、まだフリップインディはできなかった。
オープンと同時に観客が入りはじめる。会場はあっという間に満員になった。バーチカルランプとメインステージ付近はスタンディングエリア。後方はシートエリアで、各々自由にレジャーシートを敷いてくつろいでいる。
タイムテーブル変更のアナウンスが響く。なんと主催者のHEY-SMITH(ヘイスミス)がトップとラストの両方でライブをするという。HEY-SMITHはエマが大好きなバンドなので、ますますテンションが上がった。スタンディングエリアが埋め尽くされ、メンバーが登場するやいなや会場のボルテージもいっきに上がった。ライブの熱気に後押しされ、ステージ横のランプでチームジースケートの全員が熱い滑りを見せた。
エマの出番は14時30分。それまでは好きなバンドのライブを観にいったり、好きに滑ったり、グッズを買いにいったり、食事をしたりとフェスを満喫した。そして、いよいよショーが始まる少し前からエマはバーチカルランプに上がり調整を行う。いよいよ本番だ。
バーチカルランプの周囲にはたくさんの観客がいる。HEY-SMITHのメンバーもすぐ近くで見てくれていた。滑る直前は少し緊張していたエマだったが、滑り出したらいつもどおり。あとで感想を聞いたら、とても気持ちよかったそうだ。見てもらいたいたかったトリックもメイクできて大満足のご様子。何よりチームのみんながすばらしい滑りをして「みんなで盛り上がれたことがうれしかった」と言っていた。そして、楽しいフェスは夜まで続いた。
2日目も1日目と同じ流れだ。しかし天候がすぐれず、途中で何度が雨が降った。とはいえ、ライブに影響するほどの雨ではない。でもバーチカルは路面が濡れていると横滑りしてしまうため滑れない。雨がやむと、全員ですかさず拭いて乾かすという作業を繰り返した。幸いなことにショーの時間には雨も降らず、またもやみんなが最高の滑りを見せて会場をおおいに沸かせた。
ラストのHEY-SMITHのライブが始まったときは雨が降っていた。雨がやむことを願い、チーム一丸となってバーチカルランプを拭きつづける。すると雨がやんだ。そうして、ライブ後半からエンディングまで滑走することができたのだった。
※1 人気パンクバンド、HEY-SMITHが2010年にスタートさせたパンクロックフェス。通称ハジマザ。
※2 空中で体とボードを一緒にお腹側へ1回転半させるトリック。
※3 空中でボードを縦に1回転させて手でつかむトリック。
ハジケテマザレ・フェスティバルの看板の前で。去年に引きつづき、イベントに招待してもらえた
写真:河上 竜平
観客が入る前、会場のだだっ広い場所にバーチカルランプがポツンと置いてある空間。エアーをするだけで、とても気持ちよかったそう
写真:河上 竜平
のびのびとバックサイド540を調整。初日は天気も最高だった
写真:河上 竜平
ランプのまわりにはたくさんの観客が。スケートボードの大会よりもショーの要素が強く、より熱気を感じる
写真:河上 竜平
ハジケテマザレ・フェスティバルの主催者でエマが大好きなHEY-SMITHは、アニメ『東京リベンジャーズ』の主題歌を手がけている
写真:河上 竜平
ショーをやりきったあと。幼いながら、たくましい表情
写真:河上 竜平
ハジケテマザレ・フェスティバルは親子で楽しめる工夫が随所に凝らしてある、弟のヒイロは会場のプールで楽しんだ
写真:河上 竜平
広い会場はトゥクトゥクに乗って移動。こんなところにも遊び心に溢れている
写真:河上 竜平
HEY-SMITHのライブをショーアップするエマ。エマはHEY-SMITHとcoldrain(コールドレイン)の自分の好きな曲の生演奏で滑れたこと、そして10-FEET(テンフィート)のギターソロのときに滑っていてMCに声を掛けてもらえたこと、そしてモニターに自分が大きく映っていたことがとてもうれしかったと言っていた
写真:河上 竜平
イベントのフィナーレには大きな花火がドカン!
写真:河上 竜平
チームグッドスケートのみんなと一緒に。スケートボードはスポーツである以前に、仲間と一緒につくり上げていくカルチャーであることを実感
写真:河上 竜平
POSTED : 2023-09-14