文:河上 竜平
今年に入ってから、エマが通うジースケートパークに海外からの旅行者がよく来るようになった。アメリカ、オーストラリア、台湾、中国、韓国といろいろな国のスケーターがファミリーで訪れる。SNSでエマのことを知ってくれている人も少なくなく、なかには「日本に行くので滑ろう」とダイレクトメールをくれる人もいる。エマは海外に行ったことはないが、こうして海外のスケーターたちが自分のホームに来てくれることでとてもいい経験を積んでいる。スケートボードは言葉が通じなくても一緒にセッションすれば共感できるすばらしいカルチャーであり競技だ。
保育園のころから、エマにはアメリカの「ウッドワード※1に行く」という夢がある。ウッドワードシリーズ※2を観て、たくさんの仲間と夢のようなスケートパークで楽しくセッションしているキッズスケーターたちにあこがれているのだ。エマが大きくなり、日本で仲よくなった海外の友だちのところに滑りにいくことができればとても楽しいだろうなと思う。
“Hello” “Thank you”くらいしか英語を話せず、日本語とジェスチャーでおかまいなしに海外のキッズたちとコミュニケーションをとろうとするエマだが、最近になって「英語しゃべりたいなー」と言い出した。きっかけは中国や台湾の友だちだ。同い年の彼らは英語でエマに話しかけてくるが、自分の両親とは中国語で会話をしている。そのことに気づいてからというもの、エマは英語に興味を持ちはじめたのだ。英語を使える日本人の友だちの影響も大きい。英語のテストで点数をとることが目的ではなく、純粋にコミュニケーションをとれるようになりたいといった明確な目標ができたことにエマの進歩を感じた。
ちなみにわたしも英語をしゃべれない。いつもグーグル翻訳に頼りっきりなので、海外のスケーターたちとより仲よくなれるように少しずつ親子で英語を勉強しようと思う。
※1 米国に9拠点、オーストラリアに1拠点あるアクションスポーツの巨大複合施設。設備と宿泊施設が完備されていて、スケートボード、スノーボード、BMX、マウンテンバイクなど場所によりさまざまな種目のキャンプが開催されている。スケートパークはまるでスケーターのディズニーランドで、バーチカル、ボウル、ストリートなど各種セクションが網羅されいる。
※2 ウッドワードでの生活を紹介ユーチューブの人気番組。
北京の友だちとスケートボードで鬼ごっこ。言葉は通じなくてもジェスチャーでわかり合える。でも英語で話せれば、もっと楽しいに違いない
POSTED : 2023-08-04