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3月に思ったこと

文:原田 正規
写真:飯田 健二

 

年が明け、もう3月。長女コアが中学校を、長男カイマナが小学校を卒業した。ダブルで慌ただしい日々もあっという間に過ぎ去った。卒業式の数日前には兄妹そろって怪我をするというハプニングもあった。軽傷ですんでよかったが、なんだかお祓いしたような卒業式に感じた。とはいえ卒業式は、教師の人柄や、生徒たちの仲のよさが垣間見られたすばらしい式だった。

 

次のイベントはわたしのマスタークラス最終戦だ。日本のサーフィン道場、オリンピックも開催されたあの志田下で、4月16日からグランドファイナルがスタートする。日々思うように練習できないのはわたしだけに限らないだろう。マスタークラスのおじさんたちは何かしら仕事をしながら空いた時間でサーフィンしたり、イメージトレーニングをやっているに違いない。

 

今のサーフィン大会は、わたしにとってすごく偏った状況をつくり出しているように感じる。それはショービジネスを突き詰めた結果であり、そんな状況下で選手に何が求められるかなど、さまざまな要因から来るものだと思う。

 

たとえば先日ドバイで行われたウェイブプールの大会では、インドネシア初のCTサーファー和井田リオの完璧すぎるパフォーマンスに6.7というロースコアがつき、とてもびっくりした。わたしがジャッジだったら8点は出した。五十嵐カノアのワイプアウトしたライディングと和井田リオの完璧なライディングのポイントが同じだったことにもわたしは納得できなかった。

 

一般の方から見れば、サーフィン競技の採点基準はわかりづらい。ボクシングならばKOすれば100パーセント勝敗はわかる。しかし判定となれば、ボクシングでも物議を醸す。サーフィンも相手が完全にワイプアウトしない限り、勝敗がわかりにくい。両者がそつなく乗っている場合、判定基準はジャッジがライディングをしっかり見極めなければ、観戦者にとって納得のいかないものとなる。

 

ジャッジがいろんなシチューエーションを見据え、ライディングのクオリティをしっかり判断できなければおかしな判定になり、選手にはかなり重荷を背負うことになる。近年はライディングのリプレイを見直したうえで判断するようになっているため多少改善されてきていると思うが、先ほど話したドバイのようなことも起きる。大会イベントを盛り上げるためにつくられた試合結果は、わたしにとって見る価値がない。それでもわたしがすばらしいと感じたのは、納得のいかない試合結果でも、和井田リオは周囲に対して笑顔で立ち居振る舞ったことだ。その姿を見て、彼が今後さらに強くなっていくことはあきらかだと思った。

 

腑に落ちないジャッジングは日本のサーフィンの大会でもしばしば見られるが、真剣勝負の世界でこういったことはできるかぎりなくしてほしい。見ている観客や、サーフィンを愛するわたしたちに不快な印象を与えるからだ。選手達は圧倒的なライディングでつねに勝利を目指している。だからこそ、誰もが見ても納得できる判断を下してほしい。そうなればサーフィンの世界はさらに向上していくし、何よりも、スポーツの力で世の中にクリーンでいい影響を与えられる。

POSTED : 2025-03-21