撮影があり、約1年ぶりに埼玉県の秩父スケートパークへ行くことになった。エマは楽しみにしていた。関東の友だちと一緒に滑れることはもちろんだが、バートに新しくスロープが設置されたからだ。国内では、スロープがある13フィート(約3.97メートル)オーバーのバートはムラサキスポーツ立川とここにしかない。海外とXゲームズジャパンのバートでしかスロープを使ったことがなかったエマはとても興奮していた。昨年のメルボルンのコンテスト以降は、ホームであるジースケートパークのバートだけで滑っていた。形状や滑走面の異なるバートでの練習はためになる。エマの感覚では、Xゲームズやトニー・ホークのバーチカルといった海外のバーチカルはジースケートパークの形状に近いという。
当日は早朝に神戸を出発し、15時ごろに到着。国内の遠征はひさしぶりだ。長距離運転はなかなかこたえた。高速道路を走っていていつも感じるのは、静岡県が長いということ。そのあいだ「富士山が早く見たい」と願いながらひた走る。これは、関西人の性なのだろうか?
秩父スケートパークの13フィートのバートは、横にふたつのスロープが追加されたことで以前より幅も広くなり、迫力が増していた。エマは軽くアップをすませて、約1年ぶりのバートに入った。やはり、昨年と同じくエアの着地がボトム寄りなる。エマがふだん滑っているバートと比較すると、高さは同じだがアールが短く、垂直になるバーチカル部分の距離が長いためだ。これには注意が必要だ。着地がボトム寄りになるということは、着地やニースライドしたときに膝や腰への負担が大きくなるし、着地位置が低くなると失速してしまう。まずこのバートに慣れるため、空中に飛び出す「抜け方」を調整していくように何本もエアーを重ねた。
そうしてエアーや軽くトリックをしてから、スロープからスタートしてみた。6メートル近い高さなので、下から眺めると小さいエマがさらに小さく見える。海外で何度かスロープを経験しているとはいえ、どれくらいの速度が出るのか、ボトム部分で姿勢が崩れないかといったことを心配したが、問題なく滑り降りることができた。エマはどうやったらスロープを生かしてスピードをつけれるかなど自分なりにいろいろと考えながら、この遠征でたくさん練習しようとしていた。
翌日の撮影も無事に終わり、残り2日間の滞在中にひさしぶりに会う関東の友だちとセッションしながら楽しい時間を過ごした。いつもと違うバートも練習になったが、いつものローカルメンバー以外の新鮮なトリックや滑り方が刺激になり、とても有意義な遠征となった。
ホームパーク年上ばかりだが、関東は年の近い友だちが多い
みんな一緒にランプでスケートゲーム。ストイックな練習だけでなく、遊びも同じくらい大切なのがスケートボード
撮影のため、初めてのお台場来訪。スケートボードをきっかけに、エマもヒイロも幼くしてたくさんの経験を積んでいる
POSTED : 2025-02-19