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バートアラート2024 Part 1

PLAYERS : EMA KAWAKAMI

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河上 恵蒔
EMA KAWAKAMI

 

バートアラート2024

Part 1

 

トニー・ホークが主催するバートアラートへの出場が急遽決定したエマ。オファーから意思決定、出発まではたったの10日間。できるかぎりの準備を重ね、親子でアメリカへ飛び立った。

 

文、写真:河上 竜平

出発直前、怒涛の1週間

 

バートアラートから招待の連絡をもらってからというもの通常業務に加えて、エアチケットの手配、仕事の調整など雑務に追われる日々。エマも突如として現実となった夢の舞台に向けて練習を積んだ。とはいえ、滑ったことがないバーチカルなのでサイズ感もよくわからない。コンテスト用のラインをざっくりと決めたものの、実際にやったことはイメージトレーニングに近い。あとは現地に行って、どれだけ短時間で合わせられるかだ。

 

今年のバートアラートの会場はユタ州の州都ソルトレイクシティ。コンテストの公式練習は6月13日のみだという。そしてエマとわたしがソルトレイクシティに到着するのは11日の夜。本番まで中1日バーチカルランプを滑ることができない。すると、複雑なトリックに対する感覚が鈍る。わたしにはそう思えるのだが、エマ本人はさほど気にしていないようだ。だが念のため、出発日に1時間ほどホームのジースケートパークで滑った。

出発日の練習では、軽く滑ってからコンテストでやる予定のラインを数本試した。エマは「トニー・ホークのバーチカルは横幅が広いから、通るラインを変える必要があるが、行ってから考える」と、いつもどおりリラックス

日本を発つ直前にうれしいプレゼント。SOUND OF SUNRISEのTシャツとキャップがエマに届いた!正式発売が楽しみだ

関空に昨年末できたばかりのMENSHO(麺庄)にて出発前の腹ごなし。ラーメンが大好きなエマはご満悦

親子ふたり、アメリカへのロングフライト

 

関西国際空港からソルトレイクシティまでの直行便はない。わたしたちが乗った飛行機はサンフランシスコ経由だった。サンフランシスコ国際空港まで10時間弱。エマはついにあこがれのアメリカに降り立った。ところが、そこまで感動している様子はない。エマにとってのアメリカは、あこがれのスケーターたちがいるスケートパークやバーチカルがすべてなのだろう。空港にミスタービーストか大谷 翔平がいればはしゃいだかもしれない。

 

トランジットは6時間とやや長い。サンフランシスコを観光したいと思ったが、慣れない土地に出ていって、飛行機に乗り遅れては大変だ。けっきょく空港でハンバーガーを食べてからお土産を買い、搭乗口近くの椅子でスマートフォンを見ながら過ごした。

 

サンフランシスコからソルトレイクシティまでのフライトは2時間。日本との時差は15時間ある。現地時刻の21時ごろに到着したソルトレイクシティは、日が長く、まだ明るい。エマは長旅も時差ボケも気にしていなかったが、「Wi-Fiのつながりが悪いなぁ」と愚痴をこぼしていた。床についたのは深夜1時すぎ。ようやく落ち着くことができた。

エマにとって、昨年11月に行ったイタリアに続く2回目の海外旅行。座席での映画鑑賞も機内食をいただくことにも慣れた様子

空の上からゴールデンゲートブリッジが見えて感動。エマはさほど感動していなかった

サンフランシスコ空港にあるBACON BACON(ベーコンベーコン)というハンバーガーの人気店で夕食。日本のものとはボリュームがぜんぜん違う

関空を出発してから約18時間後、ようやくソルテレイクシティのホテルに到着。エマもさすがにお疲れモード

あこがれのウッドワード

 

翌日の12日は時差ボケを整えるためのフリータイムだ。そこでウッドワード※1へ滑りにいくことにした。以前のブログにも書いたが、エマはウッドワードでの生活を紹介するユーチューブの人気番組シリーズを保育園児のころから観ていて、「いつか行きたい!」とずっと願いつづけてきたのだ。

 

本当は、コンテストが終わってからウッドワードに行こう考えていた。でもようやく来ることができたあこがれの地、アメリカ。せっかくなので、早く連れていってあげることにした。エマの成長を考えると、コンテストも大切だが、海外の文化に触れることも同じくらい大切だと思うのだ。

 

ウッドワードはアメリカだけでも9か所ある。ソルトレイクシティは比較的新しい施設だが、規模は小さめ。エマがいちばん行きたがっていた場所ではなかったものの、「Woodward」というロゴを見て感動していた

 

バーチカルがないことが残念だったが、スポンジプールへのジャンプ台やストリートのセクションがあり、エマはひととおり楽しく遊んでいた。また、エマのことを知ってくれている人たちがいてうれしかった。そして、トッププロスケーターのライアン・シェクラーがいたことにびっくり。日本ではあり得ないことだ。

 

 

※1 アメリカに9拠点、オーストラリアに1拠点あるアクションスポーツの巨大複合施設。設備と宿泊施設が完備されていて、スケートボード、スノーボード、BMX、マウンテンバイクなど場所によりさまざまな種目のキャンプが開催されている。スケートパークはまるでスケーターのディズニーランドで、バーチカル、ボウル、ストリートなど各種セクションが網羅されている。

 

エマは4歳のころからウッドワードに行きたがっていた。5年越しの夢を叶えた瞬間。だが、まだまだ今回の旅の序章だ

つづく>

POSTED : 2024-07-12