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ある日曜日の練習

文:河上 竜平

 

日曜日のジースケートパークは遠方からの来訪者、インラインスケートやBMX、キックボードを楽しむ人などさまざまなジャンルのメンバーでにぎわっている。一緒に滑る友だちも多いので、エマは日曜日の練習が大好きだ。たいてい昼から夕方までぶっとおしで滑っている。

 

この日は少し早めに到着。日曜日にしてはめずらしく、誰もバートランプ※1に入っていない。軽くアップしてから、早めに練習を開始した。

 

滑っていると、最近怪我から復帰したエマの師匠である大地くんがやってきた。大地くんと滑るのはひさしぶり。エマのテンションが上がった。大地くんは保育園のころからずっと練習をともにしてきた兄貴分だ。彼が離脱していたあいだエマはモチベーションが上がらず、孤独に練習している日が多かった。スケートボードは仲間と滑ることで何倍も楽しくなるものなのだと、彼らを見ていて思う。

 

エマは足への負担を考えてバックサイド900(ナインハンドレッド)※2をやらない日もある。やる日でも1日10本以上は練習させないようにしている。雨の日もバート面のコンディションが湿気で悪くなるのでやらない。この日は900を練習した。1本目で乗れたのはよかったが、エマはルーティンで乗りたかったようで、最後にフリップインディ※3をミスしたことを残念がった。エマは「足の位置がおかしかったから、フリップインディ、ミスした」と言った。少し前までは成功やミスの原因をなかなか言葉にできずにいたが、最近は説明できる。そんなところにも成長を感じる。

 

※1 バーチカルという競技のコースとなる、最上部が垂直になったハーフパイプ状の巨大構造物。

※2 空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させるトリック。

※3 空中でボードを離し、横に1回転させてからふたたびボードをつかんで着地するトリック。

「わぁ、乗っちゃった!」と叫んでいるのはスケート仲間の大地くん。スケーターはおたがいを盛り上げ、プッシュしあうことで自分たちの限界を引き上げる

POSTED : 2023-06-16