MIHARA YASUHIRO SOUND OF SUNRISE

文、写真：河上 竜平

イタリア・ミラノ、アメリカ・ソルトレイクシティ、アメリカ・ヴェンチュラ＆ロサンゼルス、カナダ・ミシサガ、イタリア・ローマ、オーストラリア・メルボルン。コンテストでたくさんの国へ行った。通算すると約2か月海外で過ごしたことになる。応援、サポートしてくださったみなさまのおかげで、家族で感謝いっぱいの一年だった。エマにとっては、夢見ていたアメリカに行けて、Xゲームズ※1にも出場できた最高の一年だった。わたしの人生においても、多くの貴重な経験をさせてもらえたすばらしい一年だった。2025年もすばらしい一年になるように、家族でがんばりたいと心から思う。

1月1日、エマに今年の目標を聞くと「Xゲームズに出場すること。メダルを獲得すること。そしてフェイキー1080を成功させること」と壮大なことを言っていた。達成できるかどうかわからない、ロードマップもない目標だ。だが、年初にさっそく目標のひとつであるフェイキー1080※2をチャレンジしたところ、なんと1時間程度で成功させた。このトリックは、バーチカルではショーン・ホワイトとギー・クーリーしかメイクしていない。映像に残っているのはギー・クーリーだけだ。（2006年のXゲームズでショーンホワイトがチャレンジした映像は残っている）

またしても10歳という最年少で達成したのだから驚いた。そして、フェイキー1080を成功させる3日前には、バックサイド900ノーズグラブ※3もメイクした。この技は回転するときにボードの先端を持つのでバランスがとりにくく、また回転軸がつくりにくいために難易度が高い。バックサイド900※4のバリエーションのなかでも、ノーズグラブとなると成功者が格段に減る。わたしの知るかぎり、メイクしたのはエマを含めて世界で3人だけだ。

去年はコンテスト続きだったため新しいトリックに取り組むことが少なかったエマは、「今年も海外に行ってみんなとスケボーしたり遊びたいから、もっとスケボーがんばりたい」と、2025年はさらに進化した自分の滑りを見てもらえるように年明けから練習に励んでいる。

※1さまざまなエクストリームスポーツを集めた世界最大級の競技大会。夏と冬の年2回開催される。
※2 フェイキー（後ろ向き）で進み、空中で体とボードを一緒にお腹側へ3回転させるトリック。
※3 空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させながら、デッキのノーズ（先端）をつかむトリック。
※4 空中で体とボードを一緒にお腹側へ2回転半させるトリック。